ラノベとゲーム制作かもしれないブログ

オタクが最近読んだ見たラノベアニメ作るゲームの話を書きます。

近況

「おらぁ!中卒おせーぞ!!!」

 

今日も怒号が飛び交う。
五十代のおっさんが額に汗を出しながら怒鳴っていた。
周りもそれに同化するかのように罵声を浴びせていた。
学歴というのはどこまでいっても着いてくるというのがよくわかる。
正直、可哀想だなと思う。
でも、それは因果応報にして自業自得と言われればそれで終わりだ。
過去の自分が努力しなかった。
ただそれだけなんだ。
本気出せばやる。
やればできる。
……俺にはそんな言葉は言えなかった。

「おめーだよ、中卒!」

俺に向かって段ボールを投げられる。
仕分けに使われるはずの段ボールをおっさんは暴力に使った。
痛くも痒くもなかった。
もう慣れてしまったからだ。
慣れてはいけない痛みに、慣れたくない痛みに慣れてしまった。

「はい、すんません」

平謝り。
それが一番の平和的解決だからだ。
じゃなきゃこんなおっさんに頭を下げたくない。
俺が嫌な思いすればここは平和だ。
それでいいじゃないかと言い聞かせる。
おっさんはそんな謝りに満足したのかどこかへ行ってしまった。
今日の仕事で怒られた回数は十二回にも及んだ。

仕事が終わり帰るころには日は完全に沈み時計の針は七時を指していた。
よろよろとした足取りで帰路を歩く。
ふと自答する。

――俺の人生はこんなものでよいのだろうか。

答えはもちろん否だ。
俺自身怒られたいわけではない。
そんな性癖は残念ながら持ち合わせていない。
持っていたら今の職場はどれだけ天職なんだろうか。
持っていないのを必死に考えても仕方ない。
帰りに夕飯の食材を買う。
今晩の夕飯はハンバーグにでもしようか。
きっと、葉菜も喜ぶ。
それから少しして家に辿り着く。

「ただいま」

「おっかえり~」

間の抜けた声が返ってくる。
もちろん、こだまではない。
葉菜の声だ。

「お兄ちゃん、今日の夕飯は何?」

葉菜が玄関へとてくてく歩いて話しかけてくる。

「ハンバーグ」

そっけなく答える。
それに反比例して葉菜はテンションをあげて言う。

「やったぁ!!」

高校二年がハンバーグでここまで喜ぶのかと苦笑。
それでも、ここにしかない暖かさが感じられた。
このために頑張ったのだと感じられる。

「ごめんな、遅くなって」

「ううん、いいよ。
 お兄ちゃん頑張ってくれてるんだし」

葉菜は笑いながらスーパーのレジ袋を持ってキッチンに運ぶ。
俺たちに両親はいない。
俺が十五の時に死んじまった。
まだまともに社会を知らない俺と葉菜を残して。
悲しいていう前にまず生活をどうするのかを考えた。
俺と葉菜はまだ働いたことがなかった。
遠い親戚が面倒を見てくれる様に一時期なったがこれを拒否した。
誰かの負担になりたくなかった。
今でも安いプライドだと思う。
お世話になればもっと葉菜にいい思いさせあげられたとも思う。
けど、そこだけは譲りたくなかった。
守りたかった。
だから、誰の負担にもならないように俺が働いた。

「ありがとう」


料理が終わり食卓に並んだのは綺麗にもられたハンバーグとサラダ。
両親が死んでからはずっと自炊だったから最初は苦手だった料理もここまで得意になった。
少し悲しくなった。
四人で食べていた当たり前の光景はいつの日にか二人になっていた。
そんな日常が苦しくもあり、ありがたくもあった。
複雑なものだった。

「お兄ちゃん?」

「あぁ、ごめん。
 なんだっけ?」

「もっー。話聞いてよ」

「あぁ、聞くよ。もちろん」

葉菜は頬を膨らませながら言ってそれに対しただ笑って答える。

……。

…………。

「お兄ちゃん、これさ……」

さっきとは違って申し訳なさそうに一枚の紙を差し出す。
その紙を取り目を落とす。

「……進路相談?」

もうそんな時期かと思う。
葉菜の将来の選択か……。

「葉菜はどうしたいんだ?」

葉菜は言い出しにくそうに、けれど言う。
それは小さい声で、けれどハッキリと聞こえる声で言う。

「……私、働きたい」

「ダメだ」

葉菜は俺の答えを予想していなかったのか慌てて言う。

「な、なんで?! 私が働けば今よりもっと楽になるんだよ?!」

「……お前はできる人なのだから大学に行った方がいい」

まるでできない人に。自分に言い聞かせるように。

「意味わかんないよ。そんなの」

「きっと、いつか分かる」

葉菜には俺や両親以上に幸せになってほしい。
そう思うから、そう思えるからこう言ってしまう。

「もういい、今日は寝るよ」

拗ねたのか、分かったのか葉菜は行ってしまった。
まぁ、間違いなく前者だろうな。
俺みたいになってほしくないから。
泣かないでほしいから。
笑ってほしいから。
ただそう思う。

翌日。
葉菜は俺よりはやく出て行った。
進路相談の紙を置いて。
とりあえず、それに記入する。
葉菜の将来がかかることだ。
仕事を休んでも行く。それは決定していた。

「おい、中卒!」

午前の仕事中に狭い倉庫で仕事をしていたところを突然呼び止められる。
最初は言われるたびに泣ける気持ちになった愛称も今では慣れ親しんでいた。
おっさんはすごい形相で詰め寄る。

「はい、なんですか?」

「お前この日休み入ってるけどなんかあんのか?」

「その日は……妹の学校の行事はあるんです」

「あぁ?! そんなんいいから仕事入れよ」

まただ。
いつもこういう無茶ぶりを振ってくる。

「しかし……」

「しかしもねぇよ! 学無いんだから体動かせよ、なぁ?!」

「……はい」

頷くしかなかった。
否と言えば今ここでクビにさせられそうな雰囲気があったから。

昼休み。
一人休憩所でがっくり落ち込んでいた。
進路相談はとりあえず空いてる日に居れるとして……。
はぁ、ただ純粋にやめたい。
そう思う自分が嫌いだった。
この道を選んだのは自分なのに。

 

 

 

 

 

はい、どうもアキです。

上の奴は昨日だか、いつだか頭に浮かんだ物の冒頭です。

できれば僕じゃなくて他人に書いてほしい題材なんですけどね。

 

最近は引っ越ししましてそのせいでブログ更新できなかったのですよね。

とりあえず、これからはラノベ感想に創作に書いていきたいですね。

 

今期はまともに見てるのはグリムガムに神装機竜しか見れてないですね。

来期はまともに把握していないですね。

 

んー、近況はこの辺で。

 

では、