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ラノベとゲーム制作かもしれないブログ

オタクが最近読んだ見たラノベアニメ作るゲームの話を書きます。

いつか届いた神域(分割)

ライトノベル 創作

最近書いている短編です。
これだけで一応お試し的な……。
いや、これだけじゃ終わりませんよ?
そこはもっとあれですよ、あれ。
続きは後日!
では、以下からお願いします






人間は醜い。
最近のドラマなんかではそういう哲学染みた事を言う。
そして、それには僕も同意せざるを得ない。
人間は醜い。
実例を紹介しよう。
今朝のことなんだが。
僕はいつものように通学しようとバスに乗った。
そのバスは至って普通で乗車人数も30人前後だと思う。
僕が乗った時には座席は埋まりしぶしぶ僕は立っていた。
そこまでは特に何もない。
話はここからで、そこに60過ぎのおばあさんが乗ってきたんだ。
ここで正しい行動は小学生でも知っていると思うが当然席を譲るだ。
けれど、意外と席を譲るという行為は歳を重ねるだけ難しくなる。
それは怠惰なのか、羞恥心なのか、無関心、はたまた利己主義なのかは普通は分からない。
けれど、僕には分かる。
すべてが声となり音となり聞こえた。

(うわ、まじかよ)

僕と同じ学校の人がそう「思う」
見かけたこともないし知らないだろうから他学年だろうか。
彼は別に言葉を発していないのに僕には聞こえる。心の声が。

(ちょっと、誰か)

(知らない、知らない)

次々聞こえる声、それはどれも優しさとか敬いとか慈愛とかそんなものは無かった。
あったのは嫌悪とか悪態とかだった。
別に悲しくなんてなかった。
むしろ、それがもう普通だった。

僕には心の声が聞こえる。
それはある日突然と僕に与えられた。
最初は誰かが喋ってるかと思ったけれど、それは違った。
これはそんな言葉という上っ面のものすべてを取り払った確かな声が聞こえる力。

「あ、あの席座りますか?」

これは驚いた。
これまた僕と同じ制服に身を包んだおとなしそうな女子が頬を赤くしおばあさんに席を譲っていた。
席を譲ったことに驚いたのではない。
今までだって内心めんどくさい思いながら笑顔で席を譲っていた人はいたし。
けれど、この人は心と言葉が一致したんだ。
心の底からそれを望んでいるということだ。
こういう人も居るが大抵の人はウザがる。
だから、人は醜い。

そんな出来事を抜け僕はホームルーム前のクラスに居た。
窓側最後尾、いつも席だ。
そこから見る体育会系の朝練は今日も熾烈を極めるものだった。
毎日よくやるものだと感心すらする。
視線を机の中にやり、一冊のノートを取り出す。
それを机に開き中を確認する。
僕が趣味で書いている小説だ。
そして、それは毎日テキトーな時に少し更新している。
最後に綴ったページを見る。
僕が書いた文字でない、可愛らしい文字で感想が書かれていた。
毎日僕が書いてできた空きスペースに感想が書き込まれる。
僕が小説を書き始めたのはつい最近で感想が書かれる様になったのはもっと最近だ。
最初こそ恥ずかしかったがいい機会だし僕は見てもらうことにした。
しかし、感想を書いている人を知らないし知ろうとも思わない。

「楽しみにしていますか……」

僕には人の心が聞こえる力がある。
けれど、文字からは察することはできない。
だから、余計に信じれたのかもしれない、この言葉を。
見てしまったら僕には本当が分かるから。
真実が聞こえてしまうから。
だから、見えないものに幻想を抱きそれを信じたいと思ってしまう。
そして、それを信じる。

「ふふっ……」

少し頬が緩み気づいたら僕は鉛筆を取り出しノートに綴っていた。
すらすらと今日はなぜかいつもより鉛筆がすすむ。
ノリノリで書く僕は客観的に見たら気持ち悪いと思う。

「坂田ー」

内心舌打ちをして鉛筆をとめる。
僕の名前が呼ばれ声のした方に顔を向ける。
呼んでいた友達……だった中田だ。

「ん、なに」

「今日、どっかいかね?」
(飯おごってくれー)

まただ。
中田の声が二重に聞こえそれは全然別の意味を語っていた。
僕が友達だったと過去形にしたのはこれのせいだ。
金づるとしか思ってなさそうな奴を友達を呼ぶほど僕は別に友達を欲していない。

「ごめん、今日はいけないかな」

しかし、それを面と向かって言えるほど僕は強くない。

「またかよー」

「仕方ないな」と後ろ髪を掻きながら自席に戻る中田。
それとほとんど同時にホームルームを知らせるチャイムが鳴った。
担任が入り今日の授業の説明と欠席確認。
言うほど今日の授業に特別性は無く十分とかからずに担任は出て行った。

何事も無く授業は終わりを告げ昼休みに入る。
机横にかけてある鞄から自前の弁当を手に取る。
それを持ち立ち上がりクラスを出ようとした時

「坂田、飯食わない?」

中田に話しかけられた。
今では距離をとっているがとる前は毎日一緒に飯を食べていた。
しかし、今の僕は前の僕と違うから分かる。

(おかずくれないかなぁ)

こいつはどれだけ腹が減っているのだろう。
さっきから飯の話ばかりじゃないか。
まぁ、いい。
答えは決まっている。

「悪い、中田。今日は先生に用があるんだ」

「用?」
(嘘っぽいなぁ)

その聞こえてきた心の声で僕はビクッとしてしまう。
今までそんなことは想われてなかったからだ。

「あ、あぁ。進路調査でな。僕たちもう二年春だし」

「そっか」
(うーん、なんだかなぁ)

一応納得はしてもらえたようだがこれじゃまたいつか疑われてしまうだろう。
自分は嘘がつけるのに相手は嘘をつけない。
反則技だ。
けれど、別に罪悪感は感じない。
人は醜いのだから。
これぐらいは許される。

「じゃ、僕行くから」

そう言ってクラスを後にする。

職員室は僕が居るクラスより一階下で階段を下りる必要がある。
しかし、僕は降りない。
むしろ、逆だ。上っていた。
僕が目指すのは職員室ではなく、屋上だ。
一歩ずつ屋上に続く階段を歩む。
次第に屋上に入るドアが見える。
普段は簡単な南京錠で入れないようドアが占められているのだが最近誰かが無理やり壊したのか空いていた。
そのおかげで僕が入れるんだけどね。
ドアノブに手をやりそれを捻る。
軋む様な金属音ばなるがお構いなしに続け屋上に入りフェンスまで歩く。
特にここまで来たのは意味がない。
ただのマイブームだ。ここで弁当を食べるのが。
食べ終わり寝転びただ一つ僕は思った。
今日も空は青かったと。